7. 浅間前掛火山噴出物の全岩化学組成Whole-rock Chemistry for Eruptive Products of Asama-Maekake Volcano 高橋正樹・安井真也・竹本弘幸(日本大学文理学部地球システム科学教室)
7-1 浅間前掛火山噴出物全岩化学組成の特徴浅間前掛火山の噴出物は斑晶としてかんらん石,斜方輝石,単斜輝石,斜長石を含む安山岩であり,その大部分は58〜64重量%の全岩SiO2量を有する.図7-1は,浅間前掛火山噴出物の全岩化学組成を,仏岩火山および黒斑火山噴出物の全岩化学組成を比較したものである.仏岩火山は,SiO2量65〜74重量%のデイサイト〜流紋岩と58〜61重量%の安山岩からなるバイモーダルな組成分布を示す.一方黒斑火山は,SiO2量54〜64重量%の玄武岩質安山岩から安山岩より構成される.浅間前掛火山噴出物は比較的SiO2量に富む安山岩のみからなり,これらの火山とはやや異なる組成分布を示す.一方MgO量でみると,浅間前掛火山噴出物は,これらの火山よりもややMgOに富む傾向を示す. 7-2 浅間前掛火山大規模噴火噴出物の全岩化学組成浅間前掛火山の大規模噴火噴出物は全岩MgO量の違いによって特徴づけられる.最もMgOに富むのが18世紀の天明噴出物,次が4世紀古墳時代噴出物であり,さらに12世紀天仁噴出物,12世紀B'噴出物および六合降下軽石堆積物の順に低くなる. 7-3 2004年9月噴出物の全岩化学組成2004年9月1日噴火噴出物の全岩SiO2量は60.5〜61.5重量%であり,MgO量は4%前後である(高橋・信州大調査グループ,2004).この組成値は、天明大規模噴火噴出物のそれに近い.
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