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12月17〜19日の富士山

1.上空からの富士山(遠藤邦彦)

写真1

富士山上空からの眺め

写真2

富士山上空からの眺め

写真3

山頂と宝永火口

三島から

12月18日6時19分〜17時7分

写真13の富士山山頂部の様子は、12月19日10時頃に羽田発福岡行きの飛行機から撮影したものです。飛行機は富士山の北側を飛んでおり、山頂の左側に見える雪で覆われた斜面は御殿場側の富士山東斜面です。山頂火口の下方にもう一つ見える火口は宝永火口です。左の動画は富士山監視カメラの三島からの画像です。天気は快晴で、風が強く、山頂周辺では強い西風が積雪を吹き飛ばして東方に向かっているのがよく分かります。

前日も同様の状況であったと思われます。山頂の気温は17日が-22℃〜-24℃、18日が-24℃〜-28℃、19日が-28℃〜-29℃と非常に低い条件が続いていました(気象庁による)。図1には12月の富士山頂における過去5年間の気温変化を色分けして示していますが、赤の2009年はこの時期が最も低下しており、大雪のあった2005年12月以来の寒さであったことが分かります。

片山右京氏らの遭難は折しもこのような悪条件の中で生じたようです。

富士山頂における過去5年間の気温変化のグラフ

図1 富士山頂における過去5年間の気温変化(気象庁のデータに基づく)

2.12月17日の気象(山川修治)

図2 2009年12月17日21時の地上天気図

図2 2009 年12月17日21時の地上天気図

(気象庁による)

は富士山の位置,矢印は地上の卓越風を示す。

図3 2009年12月17日21時の700hPa天気図

図3 2009年12月17日21時の700hPa天気図

(気象庁による)

富士山付近では標高約2900mのレベルにあたる。矢印は強風軸を示す。

今回の冬山遭難は12月17日(木)夜半に発生しました。当日,日本付近の気圧配置(図2)は西高東低冬型で,佐渡島と関東東方沖に低気圧が発生する過程にありました。上空700hPa高層天気図(図3)によれば,西から20m/s前後の強風が吹いていたことがわかります。気温は図3から,標高2900mで約-15℃に達し,雪面はアイスバーン状態で,体感気温は-35℃程度まで低下していたことになります。

富士山頂における過去5年間の気温変化のグラフ

図4 2009 年12 月17 日21 時〜18 日21 時の河口湖におけるウインドプロファイラ・データ

横軸は時間で,右から左へ進行し,右端の24時が17日21時にあたる。矢羽は水平風で,長い矢羽は10m/s,短い矢羽は5m/sを示す。 標高約2800m(⇒,赤点線の楕円あたり,測定地高度を加算)の風に注目すると,21時頃は西風の下降流(寒色系)が吹きつけた。また時折,上昇流(暖色系)も観測された。(Web-site:WindEyeによる)

河口湖のウインドプロファイラ(図4)をみると,特に21時頃には西風が20m/s前後と吹き荒れ,上空にジェット気流が吹いていた関係で,中層の寒気を伴う下降流も生じていたと考えられます。遭難したといわれる富士山南斜面8合目付近では,山稜における収束効果も勘案すれば,時折30m/sを超える西からの暴風が吹き荒れるとともに,激しい乱流も発生していたと推定されます。また,富士山付近の主風向は西風ですが,図2でみられた2つの小低気圧の影響に加え,700hPa付近の強風軸が南方にあり,富士山付近では反時計回りの渦が発生しやすくなっていたことも,非常に激しい乱流の発生に関係していたと考えられます。さらに,富士山は独立峰なので,南斜面にあたる御殿場方面では,東方山麓から吹き上げてくる風(剥離=はくり=流)も断続的に生じ,鉛直方向の渦も巻き起こされたと推測されます。

以上のような非常に過酷な自然条件のもとで,突風によってテントが吹き飛ばされ,遭難という痛ましい事態に至ったものとみられます。

更新日:091225,修正日:091228,加筆日:100105

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今年の三番瀬カキ礁

写真1

4月10日の大潮で露出した船橋海浜公園前のカキ礁(撮影:野口)

写真2

死滅し泥に覆われたカキ礁

写真3

カキ殻のに付着している生きた小さなカキ

昨年5月に見事に発達していた船橋海浜公園前のカキ礁(昨年5月10 日のトピック>「三番瀬のカキ礁を見る」参照)ですが,海岸よりのものは一面泥で覆われ死滅しています(写真1).表面を覆っているアオサを取り去ると,死んだカキ殻が泥で平坦に覆われているのが分かります(写真2).一部ではカキ殻の上に生きた小さなカキが付着しているのが見られました(写真3).これらがこれからどのように成長し広がっていくかに注目したいと思います.

更新日:090415

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2/17,18浅間山噴煙写真

写真1 2月17日夕方

利根川堤防より撮影,噴煙は右手,榛名山の方向へ.

写真2 2月18日朝

妻沼高校屋上より撮影,噴煙は南東へ.

埼玉県立妻沼高等学校の久保田郁夫先生から,浅間山の噴煙写真が届きました.

更新日:090227

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2/17浅間山噴煙写真


写真 浅間山噴煙

撮影:久保田郁夫 加工:千葉茂樹

妻沼高校 久保田郁夫氏から,2月17日の浅間噴煙写真が届きましたので,掲載いたします.

更新日:090220

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2月14日に富士山南東麓で発生したスラッシュ雪崩(第1報)

小森次郎・千葉達朗

 11日時点の予想気圧配置および実際の気象観測データに基づいて,富士山周辺にてスラッシュ雪崩の発生が予想されたことから,2月12日,14日,および16日に南東斜面の現地調査を行いました.

写真1

2009年2月12日
スラッシュ・フロー発生前.撮影:小森次郎

写真2

2009年2月14日
スラッシュ・フロー発生直後.赤三角の先が発生地点.撮影:千葉達朗

 2月12日に撮影した写真1(太郎坊駐車場.標高1430m.小森撮影)では標高1900m付近より上の斜面には,ほぼ一面に雪がありましたが,14日に撮影した写真2(同駐車場.千葉撮影)では雪崩発生の痕跡が認められ(黒い扇形の部分),その発生地点(宝永山北側の浅い谷)も明瞭に分かります.16日に行った現地調査によれば,御殿場口登山道の北側にスラッシュ雪崩によるデブリの散在と富士山のスラッシュ雪崩特有の雪・氷・スコリアからなる堆積物が確認できました.今回,標高2500〜2000m付近で発生したスラッシュ雪崩による堆積物は,標高1900m付近で幅100〜数mの二つの細長いローブ(一部は更に細く分岐)に分かれ,それぞれ1km(南側ローブ)と1.5km(北側ローブ)延び,それぞれ標高約1780mと1610mまで達しています(写真3.標高約2000mから俯瞰.写真4.1520m付近から.いずれも小森撮影).雪混じりの堆積物の厚さは最大で1m程度で,雪も含んだ全体の移動物質の量は数千〜1万立方メートル程度と考えられます.

写真3

2009年2月16日
標高約2000mから俯瞰.撮影:小森次郎

写真4

2009年2月16日 1520m付近から.撮影:小森次郎
上:全景,中:発生地点と南側ローブ,下:北側ローブ

更新日:090218

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浅間山噴火 福島県から見える噴煙?

千葉茂樹氏(福島県)より以下の画像と情報が寄せられました.


写真 浅間山噴煙?

撮影:千葉茂樹

福島県南部,田村市の片曽根山(719m)から撮影した.浅間火山の噴煙と思われるもの.2月8日夕方.浅間山の位置は高原火山よりやや右の方向.

2004年の浅間山噴火時にも,同年11月17日や12月28日,2005年1月2日などの画像で,同じところから噴煙が見え始め(右側)ていたので,浅間火山の噴煙の可能性がある(浅間噴煙画像 のページ).

日本大学文理学部地球システム科学科のスタッフブログ 火山灰の顕微鏡写真 が,

「浅間山2009年噴火速報」には現地での調査結果や解説などが掲載されています.これらもあわせてご覧下さい.

更新日:090214

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浅間山噴火 噴煙写真追加

遠藤邦彦 撮影:久保田郁夫

写真1

前項「浅間山噴火」の写真1の未加工写真.
写真右端,山なみの向こうに白い頭を覗かせているのが富士山.

写真2

写真1の右側(浅間山側)の写真

写真3

妻沼高校からみた浅間山から富士山まで伸びる噴煙.右端の山が浅間山.左方に見える富士山より先が東京上空.



写真4〜6

写真3を三つに分けファイルサイズを軽くしました.

日本大学文理学部地球システム科学科のスタッフブログ 火山灰の顕微鏡写真 が掲載されています.

また,「火山災害」のページの「浅間山2009年噴火速報」には現地での調査結果や解説などが掲載されています.これらもあわせてご覧下さい.

更新日:090206

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浅間山噴火 噴煙写真

遠藤邦彦 撮影:久保田郁夫

2月2日1時51分頃,浅間山で小規模な噴火が発生しました.最近では2004年以来の噴火です.火口から約1キロメートルに大きな噴石が達しました.噴煙の高さは、火口縁上約2000メートルでした.その後、火山灰の噴出は8時頃まで継続しました.この噴火により、降灰が関東地方南部まで確認されました(以上,気象庁による).

写真1 2月2日午前8時40分頃

浅間噴煙あるかな? 妻沼高屋上より 加工画像

写真2 2月2日午前8時40分頃

浅間火山 噴煙  妻沼高屋上より 加工画像

写真 2月1日16時頃

浅間山噴煙 太田小西より撮影

丁度この噴火の直前,2月1日に撮影された浅間の写真が妻沼高校の久保田先生から届いていました.最近噴煙が活発になり注意していたところでした.噴火後に久保田先生から届いた写真も並べてみました.2004年9月〜の噴火は約3ヶ月の間に何度も噴火を繰り返しています.今回の噴火もその推移を注意してみていく必要があるでしょう.

日本大学文理学部地球システム科学科のスタッフブログ 火山灰の顕微鏡写真 が掲載されています.

また,「火山災害」のページの「浅間山2009年噴火速報」には現地での調査結果や解説などが掲載されています.これらもあわせてご覧下さい.

更新日:090203

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この冬もスラッシュフロー発生! 2008年12月22日に発生したスラッシュフロー

小森次郎

12月25日に富士山御殿場側斜面の現地調査を実施した.

標高2000m〜1900mにかけて新鮮かつ明瞭なスラッシュ雪崩の堆積物を確認した.このスラッシュ雪崩堆積物は12月22日未明に発生したものである.

12月21日〜22日にかけて,季節はずれの温暖な天気で富士山山頂で22日未明に-5.1度を記録.また,南東斜面ではまとまった降雨があり,国交省印野観測点で22日1時〜4時にかけて28mmを記録した.

去年の春の3件とくらべるとかなり規模は小さいが,いわゆる雪崩のデブリ以外に,スラッシュ雪崩特有のスコリア混じりの氷やそこから派生したレビーをもつ泥流状の堆積物(粒間は凍りついている)がしっかりと見られる.去年暮れのごく小規模な事例と比べるとれっきとしたスラッシュ雪崩と言うことできる.

スラッシュ雪崩は少なくとも宝永山の東斜面富士山主峰斜面の間にある谷と,その一つ北側の谷で発生している.

写真1

写真2

詳しい調査報告はJIRO.Kom's Blog 2008年12月27日「12月25日富士山御殿場側斜面の調査について 」 をご覧下さい.

更新日:090119

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貴重な露頭を『はぎとり標本』にしてみよう!

大事な露頭が失われてしまうことが良くあります.しかし,『はぎとり標本』は意外に簡単につくることができます.『はぎとり標本』にしてじっくり観察したり,保存したりすることが大事になってきました.写真は北海道南部,苫小牧近くの小さな露頭を室内に持ち込んだ『はぎとり標本』です.この中には樽前山,有珠山,駒ケ岳からのテフラ(火山灰)がたくさん見られます. 『はぎとり標本』のつくり方については日本大学文理学部地球システム科学科第四紀地球環境研究室 「はぎ取り標本作成方法」 へ, 露頭については日本大学文理学部地球システム科学科第四紀地球環境研究室 「多数の火山噴火を記録する露頭」 へ.

写真1 はぎ取り標本

更新日:090115

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