はじめに
火山工学研究小委員会は,火山における恵みと災いを工学的視点と社会学的視点で研究するために(社)土
木学会地盤工学委員会に設置された.過去,雲仙普賢岳,有珠山,三宅島などの噴火災害について調査を実
施し,多くの報告をまとめるとともに,研究集会や火山工学セミナーなどを開催してきた.さらに2005 年に
はそれまでの研究成果を集大成して「火山工学入門」を発刊し,火山工学発展のための新しい展開を開始し
たところである.
本報告書は,2011 年度土木学会重点研究課題(研究助成金)に採用され,小委員会構成メンバーが分担し
た調査研究成果をとりまとめたものである.特に,2011 年1 月に噴火を開始した新燃岳に関しては工学・社
会学の両面から調査を実施した.また,雲仙普賢岳や有珠山,三宅島などのわが国における近年の噴火災害
のほかに,セントヘレンズ火山(アメリカ合衆国)やメラピ火山(インドネシア共和国)など,海外の噴火
災害にも眼を向け,可能な範囲で資料を収集して,相異なる噴火災害様態を比較研究することにより,火山
噴火に対する準備と対応行動を軸とした防災や減災の考え方を考察したものである.
2011 年3 月11 日の東日本大震災を契機にわが国の防災対策のあり方が再検討されようとしているが,本
報告が火山噴火災害対策の進展に一部でも寄与することができることを願っている.
とりまとめに際し,資料提供,調査にご協力いただいた国土交通省宮崎河川国道事務所や都城市,高原町
ならびに関係機関各位に深く感謝申し上げます.また,現地調査やヒアリング等を担当し,成果のとりまと
めにご尽力いただいた委員各位に感謝申し上げます. |