代表者 長崎大学工学部 後藤恵之輔
我が国は,世界の凡そ1割に当たる86の活火山を抱える代表的火山国であることから,火山と言えば伊豆大島,雲仙普賢岳,桜島等に代表されるように火山災害が思い浮かべられ,火山防災が緊急かつ重要な事業として認識されている。一方,日本の国立公園の殆どが火山地域で指定され,火山の副産物としての温泉を含め,火山は観光資源としても重要な役割を果たしている。また,火山活動がもたらした有機質の火山灰土は,肥沃な耕作地を我々に与えてくれている。
このように人間社会からみて火山には,火山災害に代表される『負の要素』と,観光資源・農業資源に代表される『正の要素』との,2つの側面がある。第1分科会では,この火山の『正の要素』に着目し,創造(建設)と資源の有効活用の観点から,『火山地域における計画・調査・設計・施工・事故事例および火山資源の有効活用』を研究テーマに活動している。
雲仙岳噴火の砂防工事では,危険区域の工事に無人化施工が適用された.
2. 活動の体制
第1分科会は下記の10名で構成され,それぞれ研究テーマを分担した。表−1 第1分科会の構成と研究テーマ
会 務
氏 名
所 属
担当(研究テーマ)
第1分科会長
後藤 恵之輔
長崎大学 工学部
火山資源の有効活用
幹 事
稲垣 秀輝
(株)環境地質
火山環境の評価
幹 事
中村 裕昭
中央開発(株) 環境・防災技術部
地盤調査
委 員
阿部 司
東北大学 工学部
地熱エネルギー,地域開発
委 員
猪狩 哲夫
(株)間組 土木本部
インフラ事業
委 員
池水 富美矢
(株)フジタ 土木本部
無人化施工
委 員
飯酒盃 久夫
(株)熊谷組 土木技術部
防災施設
委 員
渥美 博行
鹿島 技術研究所
土木と景観
委 員
今井 博
大成建設(株) 技術研究所
事故と対策
委 員
山中 稔
長崎大学 工学部
火山資源の有効活用
委 員
大野 博之
応用地質(株)技術本部河川部
平成7〜9年度における第1分科会の研究成果は,火山工学研究小委員会が報告書としてまとめた『火山工学の確立を目指して(平成10年3月)』の第2編に収録されている。これらの調査研究活動を通じ,この分野の現況と今後の研究テーマとなりうる課題が抽出できたものと考えている。以下に,第2編の目次を示す。
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前記,II期目委員会の報告書をたたき台に分科会内で勉強会を行い,深度化を図り,土木に根ざした共通の視点で課題を抽出し,将来展望としてまとめていきたい。