三原山はタフコーン

photo by Tatsuro CHIBA at 1988/02/13


 伊豆大島の三原山はカルデラ内の中央火口丘とされ、噴火の度に溶岩流を流下させてきたことが知られています。しかしながら、その内部をみると、厚いサージ堆積物から構成されている部分があります。以下の写真は、1986年噴火で剣が峰に生じた4つの火口の内、南端から2つめのB2火口の内部の写真で、1988年の2月にはじめて火口内に降りたときのものです。噴火直後は深い縦穴で、火口壁にはTB-6細粒火山灰がびっしりと付着し観察は不可能でした。

 三原山の周辺のいわゆる表砂漠や裏砂漠の砂は、これまで一般的に言われてきたように、溶岩やスコリアが長期間の風化によってできたものではなく、層序からこのサージ堆積物であると思われます。形成時期は安永噴火の最末期です。このサージの露頭は、新しい登山道沿いでも見ることができます。

(1997/10/12 千葉記)

 

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B2火口縁よりB1火口方向を見る。最表層を薄く覆うのは、1986年噴出物。

左端にみえるのが、1986年噴出物。サージ堆積物は細粒な部分と礫を多く含む部分に区分できる。

サージの砂質部分は細互層し、一部にV字型のガリーとそれを充填するサージ堆積物が見られる。


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